近頃なぜか森の野ばら
『近頃なぜかチャールストン』(1981)喜八節反戦イズムの中で最も素っ頓狂な面持ちの本作はやっぱり利重剛の仕業だったのね。このノリの系譜っていまは何処にいってしまったのだろう。/『ブンミおじさんの森』あの森に還りたい。行ったことないけど。土地の記憶を巡るアートプロジェクトの一貫ということで、ラストの方の若い兵士達の写真パートについてはパンフを読むまでわけがわからなかったけれど・・・。扱っているテーマは死と輪廻と記憶であるから浮かび上がるのは生である。二部構成三部作を終え、転生/変容というテーマが地続きに用いられ、認識の枠を緩やかに溶かしてくれる。発端はタイ東北部の僧院長が編んだ「前世を思い出せる男」という小冊子からはじまったらしく、通底している世界観に「唯識」(タイの上座部仏教は日本で馴染みのある大乗仏教とはかなり違いがあるらしいけれど)を感じるのは必然ともいえようが、唯識から導き出される選択肢の中で極めてポジティブな方向への可能性を開いていると言える。カンヌ審査委員長だったティム・バートンにとっては至極のファンダジーだったようだけど、不可思議なエスタブリッシュメントが発生しそうな懸念はある。好きだけどね。/『パーマネント野ばら』原作の高知のおばちゃんバイタリティーを存分に消化したあと、「不在の実存」(雑言だけどね)の重みをどう伝えるのかが肝なわけだけど、組み合って終わったような気もするね。